Virage 整備記録

2015年8月8日

1977 PORSCHE 930 Turbo K-jetronic

930、911ターボのKジェトロの修理、調整依頼が多くなりました。いわゆる「専門店」に依頼しても断られることが多く、NAであればキャブレターにコンヴァートするよう勧められることが多いようです。が、ターボではそうもいかず、フルコン化に進むオーナー様が多いとのこと。ここで誤解が無いように記しておきますが、当ショップではフルコン化することに全く異議はありません。全てにおいて、Kジェトロやキャブレターを凌ぐ上に、メンテナンスフリー化やメンテナンスの容易性、イージードライブにも大きく寄与することでしょう。パフォーマンスの面においては比較にさえなりません。これはドーピングではなく、そもそもある機械としてのポテンシャルを余すことなく引き出してあげる結果です。それ以前の旧式のエンジンマネージメントや燃料供給装置が、技術的にできなかったことを現代の技術にて引き出してあげているのです。唯一のデメリットとして上げるならば、「オリジナルでなくなる」ということでしょうか。当ショップではいずれにも対応します。

オリジナルのシステムを理解できていないから、もしくは修理できないからアップデート、アップグレードをお勧めするわけではなく、ご覧のように、オリジナルのKジェトロにもきっちりと対応します。Kジェトロといえば「故障の原因」と揶揄され「暗黒の王子」のような扱いをされてしまいますが、70年代から90年代初期まで、ポルシェでいえば964turboまで多くのヨーロッパのメーカーで採用されたシステムです。ちょっと考えれば分かると思いますが、そんなにダメなシステムならばそこまで採用されるわけがありません。日本というちっぽけな極東の島国で、それについてのお勉強がされてこなかっただけの話です。「いやいや、俺が診てもらってる専門店はよく分かってる」なんて方がいらっしゃるならば、「外気温が25℃の時のコントロール・プレッシャー」がいくらか訊いてみればいいです。データを持ってるだけでもマシなほうです。実はそんな業界です。