Virage 整備記録

2020年2月23日

Ferrari 308、328用カーボンエンジンフード

タイトルを書きながら「フード」と書けば「food」を連想してしまいます。

「hood」なのにカタカナで書けば同じ「フード」。だから日本人の英語はダメなのです。

さて、マスター型が出来上がったとのお知らせがあり、メーカー様にご持参いただきました

ferrari 308 328 carbon engine hood restomod

「3Dスキャンして門型のCNCで削って型造ればいいじゃん?」なんて安易な発想からスタートしたプロジェクトですが、このフードの場合そうはいかないとのこと。それには様々な要因があるものの、一つはほぼ手作りなためそもそも寸法が出ていないとのこと。

ferrari 308 328 carbon engine hood restomod

やはりこういう時代になってもまだまだ人間の感覚に頼らなければどうにもならない部分があるようです。ただし、本当に感覚に優れた人間に限られた話です。

「職人」と呼ばれる方なら誰でもということではありません。大半のいわゆる「普通の職人」はそう遠くない未来に仕事を失います。勘違いのないように。

今回のメーカー様は名前を出せば、お抱えのクライアント様方に迷惑が掛かるレベルです。

ferrari 308 328 carbon engine hood restomod

仮フィッティング。修正点も確認できました。

ferrari 308 328 carbon engine hood restomod

ノーマルのスチール製のフードは「悪い冗談」くらいの重量があります。

ミッドシップで、その真上にそんな重量物を背負って運動性能を求められるわけがありません。ここの重量が軽くなれば全てが変わります。

ferrari 308 328 carbon engine hood restomod

子供向けの安物のチューニングカーや、これ見よがしなカーボン自慢は当社の意向に沿わないので全てボディ色にペイントする予定です。

因みにこのメーカーの職人さんはそれはそれはバッチリと編目をこれでもかというくらい合わせる方です。念のため。

ferrari 308 328 carbon engine hood restomod

これから生産型の製作に移行していただきます。

ご一緒にお仕事いただけることを感謝します。

「そういえば、308にFRPボディのものがあったよね」と訊かれることがありますが、それがなぜFRPであったかという背景を知らない方が多いようです。

あれって、アホみたいに分厚くて全然軽くないってことを知らないようです。

知識が無いのに「マテリアル」に拘りたがる素人が多いですね。

カーボンと言えば「ドライカーボン」みたいな。だから日本は「ガラパゴス化」するのです。

知識変換が遅れているんですよ。