この車両はオーナー様が自ら英国より輸入された右ハンドルのエステートです。英国からの輸入ということで車体の錆びを心配していましたが、杞憂に終わりました。聞けばおばあさんがほぼワンオーナーで管理されていたとのこと。
不要な改造もなく、レイプ被害の非常に少ない良い個体です。日本国内にあるものの多くが錆びやレイプ被害が散見されます。
が、この車が新車当時英国では(地方によりますが)エアコンの装着率が高かったとは言えません。この車は未装着だったためそれのインストールがご依頼の内容の一部です。

気付いた方はW123、S123オーナー様か、それらの世話をされている方々でしょうか?エアコンのインストールにあたって、ノーマルのコンプレッサーの位置とVベルト仕様がどうにも容認できなかったため、その辺に転がっていた同じM102エンジンのサーペンタインベルト仕様に変換されています。
もちろんプーリーを交換するだけでは済まない上に、コンプレッサーの位置は画像右下、パワステポンプの下に設置することになります。スペースはミニマムです。

そのミニマムなスペースにコンプレッサーを設置するには、以下のようなワンオフ部品の製作が必要です。

他車種用のパイプを流用した上で、先端のネジ部を製作してロウ付け。ここをTIGで溶接すると途端に良くない意味での「手作り感」が出てしまいます。

サンドイッチ・ブロックを3Dモデリングした後CNCで削り出し。


このように、

組合わされます。

上下のパイプを支える板状のブラケットもレーザーカットして曲げ加工したワンオフ品です。

コンプレッサーはバック・カバーをフラットなものに交換してパイプとのクリアランスを確保した上でR134仕様にてO/Hしていただきました。いつもお世話になっているプロの仕業です。信頼できるプロです。

たかがコンプレッサー一つでまあまあの手間が掛かります。加えれば、実際にモノができる時間よりも考察している時間のほうが遥かに長いということです。
しかし、よく見かける後付けのエアコンやコンプレッサーはどう贔屓目に見てもセオリーが分かっている人物が造っているとは思えません。
殆どのものが「ガスが漏れないわけがない」ような為体です。書き出すときりがありませんが、機械的、力学的に間違っているものが殆どを占めます。
分かります?
きれいに纏まっているとか汚いだとか雑だとかではなく「間違い」なのです。
Update: / Date 2019-11-30