この車両のオーナー様は、バッグなどをデザイン及び製造されている方です。
このシートは今まで自動車に使われた前例が無い皮革により張りなおされています。このようなセンスは私どもにはありません。いつも異業種の方にはいい刺激をいただきます。

画像でどの程度伝わるか分かりませんが、とても質感に優れています。
そもそも、自動車で使われる内装の皮革はペイントで覆われています。
要するに、革に触れているのではなくペイントに触れています。
それに丁寧に「保護クリーム」のようなものを塗っているのを見かけますが、ペイントにそんなもん塗って何の意味がありましょうか?

この皮革は、ペイントもしてなければ、バッグなどでするような染色もしていません。よって、数年でペイントにクラックが入ったり、剥げたりすることや、白いシャツに色が移ることもありません。
これからオーナー様が日常に使用してテストされますが、陽に当たり、擦れて、年月が経つにつれヴィンテージ家具のような「円熟味」が出ることを期待しています。

3Dスキャンしてリデザインして、プリントアウトした速度計の裏側のケースは、結局W123に何故か電子式メーターの設定があることが発覚し、それをまんま使用することで収まるという間抜けな結果です。しかし純正の収まり具合ったらなんとも素晴らしいものです

コンソールのパネルやスイッチ等も新品を使用すればご覧の通り。ボロばっかりのW123、S123の中でもここまでやれば圧倒的な新品感があります。
元々エアコンが付いていなかったこの個体ですが、すっぽりきれいに収まりました。

何故電子式の速度計が必要だったか?

それは722.6 (NAG 1)電子制御5速オートマティック・トランスミッションをインストールしたからです。

良く話題に上がる「アレ」とは別物です。そもそもコントロールユニットのレベルが違うので比較するべきではないのですが、それ以上に「セッティング」が上手くできているか否かの差が大きいです。このセッティングを担当した方もここまでくるのに数年掛かったとのこと。
ちなみにこの車両はエンジンマネージメントは「K-Jetronic」のままです。
とっくに走っていますが、私が普段乗っている純正で722.6が搭載されている車と何ら変わらないレベルのスムーズ加減です。
このコントローラー(メルセデス仕様)の日本での代理店を務めることになりましたので、後日改めてアナウンスします。

このシフターの枠は当社でデザインしたものを、オーナー様の3Dプリンターでプリントアウトしたものです。
違和感無く収まりました。
次回、実走動画を公開予定。
Update: / Date 2020-02-23