モックアップ製作のワークフローをご紹介します。
まずは現物を3Dスキャンします。画像左はM100エンジンのオリジナルのアダプター・プレート、右は今回搭載する電子制御5速オートマ 722.6 のベルハウジング端面です。

その仕事を担うのがFAROのスキャンアームです。残念ですが、そんなに安いものではありません。 0.001mm単位でスキャンします。今回そこまでの精度は必要ありませんが勝手に読み込みます。

その二つのセンターを出して3D CAD上で合わせます。

そのデータを元に3D CADでデザインしたものをプリントアウトします。これが一次試作です。

一発で決まることはほぼありません。
実際にモノを当てがってみて初めて発覚する問題点のなんと多いことでしょう。この場合はスターターのピニオンの「逃げ」が足りませんでした。加えてこの後トルクコンヴァーターとフレックスプレートの結合部分を大幅にリデザインしました。
このような体制を整えておくと、全体でなく、部分的に問題点のみプリントアウトして修正及び確認することが可能です。

試作の完成です。「芯」がビシッと出ていないといけないクリティカルな部位ですが、0.001mm単位でスキャンしているので安心です。

スターターのフィッティングも問題ありません。

今回はこのアダプタープレートをジュラルミンで削り出してもらいます。
もちろん、コストを無視すればベルハウジングごと造り直すことも可能です。ベルハウジングと本体の合わせ面の、あの迷路のような油圧経路も全て再現した上でです。
以前はCAD CAMだのなんだのを用いてプログラミングする必要があり、それの時間とコストが掛かっていたのですが、今や3DデータをそのままCNCが読み込むためそれらの作業が不要になり、時間もコストも信じられないレベルで改善されています。
定規とノギスで測っていた頃とは隔世の感があります。
Update: / Date 2019-09-18