Virage 整備記録

2019年9月18日

W109 300SEL 6.3 3Dプリンティングモックアップ 03

モックアップ製作のワークフローをご紹介します。

まずは現物を3Dスキャンします。画像左はM100エンジンのオリジナルのアダプター・プレート、右は今回搭載する電子制御5速オートマ 722.6 のベルハウジング端面です。

自動車部品3Dスキャン ワンオフ W109 300SEL 6.3 改造 Motec 電子制御化 トランスミッションスワップ 722.6 into W109

その仕事を担うのがFAROのスキャンアームです。残念ですが、そんなに安いものではありません。 0.001mm単位でスキャンします。今回そこまでの精度は必要ありませんが勝手に読み込みます。

自動車部品3Dスキャン ワンオフ W109 300SEL 6.3 改造 Motec 電子制御化 トランスミッションスワップ 722.6 into W109

その二つのセンターを出して3D CAD上で合わせます。

自動車部品3Dスキャン ワンオフ W109 300SEL 6.3 改造 Motec 電子制御化 トランスミッションスワップ 722.6 into W109

そのデータを元に3D CADでデザインしたものをプリントアウトします。これが一次試作です。

自動車部品3Dスキャン ワンオフ W109 300SEL 6.3 改造 Motec 電子制御化 トランスミッションスワップ 722.6 into W109

一発で決まることはほぼありません。

実際にモノを当てがってみて初めて発覚する問題点のなんと多いことでしょう。この場合はスターターのピニオンの「逃げ」が足りませんでした。加えてこの後トルクコンヴァーターとフレックスプレートの結合部分を大幅にリデザインしました。

このような体制を整えておくと、全体でなく、部分的に問題点のみプリントアウトして修正及び確認することが可能です。

自動車部品3Dスキャン ワンオフ W109 300SEL 6.3 改造 Motec 電子制御化 トランスミッションスワップ 722.6 into W109

試作の完成です。「芯」がビシッと出ていないといけないクリティカルな部位ですが、0.001mm単位でスキャンしているので安心です。

自動車部品3Dスキャン ワンオフ W109 300SEL 6.3 改造 Motec 電子制御化 トランスミッションスワップ 722.6 into W109

スターターのフィッティングも問題ありません。

自動車部品3Dスキャン ワンオフ W109 300SEL 6.3 改造 Motec 電子制御化 トランスミッションスワップ 722.6 into W109

今回はこのアダプタープレートをジュラルミンで削り出してもらいます。

もちろん、コストを無視すればベルハウジングごと造り直すことも可能です。ベルハウジングと本体の合わせ面の、あの迷路のような油圧経路も全て再現した上でです。

以前はCAD CAMだのなんだのを用いてプログラミングする必要があり、それの時間とコストが掛かっていたのですが、今や3DデータをそのままCNCが読み込むためそれらの作業が不要になり、時間もコストも信じられないレベルで改善されています。

定規とノギスで測っていた頃とは隔世の感があります。