Virage 整備記録

2018年3月23日

Ferrari 328 電装関係

最近「クラシケを取得したいから・・・」と始まるお問合せを多くいただきます。「オリジナルに忠実に」ということに否定的ではありませんが、それを認定する人物がこんな部分まで審査しているとは思えません。フューズボックスに刺さるコネクターです。焼けた端子は電動ファンの電源供給を担います。フェラーリ328電装

フェラーリ328電装
典型的なやっつけ仕事です。何故にこの部位が焼損してしまったのか考えが及べばこのような処置はしないでしょう。この手の作業をする殆どのメカニックが「これで問題はない」「これで解決した」という認識でしょう。「ご丁寧にハンダまでしてやったからこれで安心」と。フェラーリ328電装
これが手に入らなかっただけではないですか?もしくは面倒だったのでしょうか?お客様に急かされたからでしょうか?フェラーリ328電装
では純正と同じ端子とコネクターを用意すればそれでいいのかと言えば、良いわけがありません。この時代のイタリアの自動車の電気周りについて言えば「悪いジョーク」以外の何物でもありません。では彼らが「ジョーク」のつもりでこんな設計をしたのかと言えばそうではありません。「これで問題無い」と本気で思っていたのです。 また、海外製の新規に製作されたフューズ・ボックスが装着された車両も見かけますが、そもそもの配線や、そのエンド部分の端子やコネクターの具合が悪ければ根本的な改善にはなりません。「電気」というものが水が流れるようなものだとイメージすればお分かりのはずです。どこかに障害があればそこで滞り、電気の場合はそれが熱に化けてしまうのです。最悪の場合出火します。自動車火災の一番多い原因は電気に起因するものです。FRPのダッシュはよく燃えそうです。フェラーリ328電装
そもそもそんな状態なのに、何も知らない、何も考えていないメカニックだの、電装屋だのが追加のデヴァイスをタコ足配線でどんどん追加していきます。そもそもまともに電源を供給していない出来の悪いシステムにどんどん想定外の電気的負荷を掛けていきます。どんどん自動車がレイプされていきます。ちょっと考えれば分かるようなことです。今これをお読みの方も、聞けば「なるほど」と思われているのではないでしょうか? 個人的には「クラシケ」が適用されるべきは、あまり電気を要求されることの無かった「機械のみ」の頃の自動車ではないかと思います。328やテスタをオリジナル通りに新車同様に戻したところで、数年に一回同じところを修理するようになる。で、あの「いや、当時のイタリア車なんてこんなモンですよ。フェラーリですよ、フェラーリ。細かいことは気にしないで。」を再び聞くことになるでしょう。