Virage 整備記録

2019年6月20日

Ferrari 400i K-Jetronic part 5

part 4で各コネクター類の整理をしたものの、電気が復旧しません。

嫌な予感がします。

電気の供給元を確認してみましょう。

Ferrari 400i フェラーリ Kジェトロ修理 ジェトロニック ウォームアップレギュレーター

何ですかこれは?イモムシフューズを嫌がる方は多いですが、こんな強引な対策は初めて目にします。

両バンクのフューエル・ポンプと何だったか大きな電流が流れるこの3つです。

「すぐに飛んでしまう」という理由でこういう処置をされたのでしょうが、それはイモムシ・フューズだから飛んでしまうのではなく、電気の行き先に過剰な負荷が掛かっているか、途中でなにか不具合が起こっているのです。

フューズ自体の容量も上げて、ガッツリハンダ付けすれば大丈夫だと思ったのでしょうが、フューズが飛ばない分、エネルギーが熱に変換されて配線に負担が掛かります。

何故に自動車で「ハンダ付け」が採用されないのか?振動で割れるからです。

自動車の電気を家電レベルの電気と同じに考えてはいけません。

素人の思い付きで何かするべきではありません。

自動車で使うものはautomotive gradeと呼ばれる高品質高耐久性を備えたものです。

それより上のものはaircraft、 milspec、 aerospace gradeくらいしかありません。

ホームセンターで足りるものは何一つありません。あまり自動車という高度な機械をナメないほうがいいでしょう。

Ferrari 400i フェラーリ Kジェトロ修理 ジェトロニック ウォームアップレギュレーター

de ja vu ですかこれは?

Ferrari 400i フェラーリ Kジェトロ修理 ジェトロニック ウォームアップレギュレーター

Ferrari 400i フェラーリ Kジェトロ修理 ジェトロニック ウォームアップレギュレーター

下はフューズ及びリレーボードに電気を供給するメインのコネクターです。

何故に腐食してしまうのか?そもそも使っている素材も電気回路もどうしようもなくスカだからです。その上後付けでくだらない電装品を足して負荷を増加したり、その作業をド素人が何かのジョークレベルでしてしまう。

更に加えて経年劣化する。

その成れの果てがこれらの画像です。

Ferrari 400i フェラーリ Kジェトロ修理 ジェトロニック ウォームアップレギュレーター

結局電気が流れていなかった理由は二つです。

上画像のリレー(全部交換するべきです)の内コールドスタート関連のものに繋がるべく配線の端子のロックタブがもげていて、ちゃんと差さっていなかったうえに、配列が間違ってされていたことと、

下の画像のサーモタイム・スイッチが死んでいたことです。

画像は新品に交換済みです。

Ferrari 400i フェラーリ Kジェトロ修理 ジェトロニック ウォームアップレギュレーター

このスイッチ(センサーではありません)が死ぬと、それらに電源が供給されません。

それが分からずにあれやこれやといじくりまわして、バイパスして、端子のタブを折ってしまった上に、配線を何処に戻せば良いか分からなくなってしまったのでしょう。

この事例は二つの要素が絡んでいます。

一つはそもそもの各部品のクオリティと経年劣化、

もう一つは人災です。

誰かが間違ったことをしたせいで起こったことであり、自動車のせいではありません。

あまりにも身近な存在な為か、自動車の整備や修理をナメている方が多いように思います。

これが飛行機や、ヘリコプターならどうでしょうか?

まず、マニュアルや測定器や専用工具がその場に無いからと「勘と経験」を頼りに間に合わせの手持ちの工具を使って整備するのでしょうか?

知識もなく、マニュアルも用意せず、専用工具も持ってない人が何故こういう仕事を請け負うのか理解に苦しみます。

因みに「サーモタイム・スイッチって何にどう作用するのですか?」なんて質問には一切答えません。

そんなことさえ分からない、自分で調べられないのならそんな仕事を受けるべきではありません。

自動車がかわいそうです。

ところで、何で自動車に関わる業者は「知ったかぶり」したがる人が多いのでしょう?

バレバレなのに、自分がそれを知らない、分からないことを認めない。

あれって何なんですかね?

「プライド」だとでもいうのでしょうか?

それはプライドとは呼ばずに「コンプレックス」と呼びます。