Virage 整備記録

2013年10月10日

Maserari 430 アップデート

マセラティ430 アップデート
昔買ったサービスマニュアルがどうにも見当たらないのでディスクのものを新たに買いました。何万円もした紙のマニュアルに対してこれは数千円。素人でもクリック一つで手に入ります。なんとも便利な時代になりました。メルセデス・ベンツのものに比べるとページ数も少なくアッサリしたものですが、有るのと無いのでは天と地ほどの差があります。マニュアルにもお国柄というか、メーカーの個性がでるものです。主にワイヤリングのために活用しますが件のフューズ・ボックスの項では「製造上の理由のため同じ形のコネクターを使用していますが、挿し間違えないように赤いドットが付いたコネクターは赤いソケットに、緑は緑に。」なんてことが書いてあります。通常こういう部分は絶対に挿し間違いがないようにコネクターに爪をつけたりして形状を変えています。この辺からも当時の彼らのこういう部分に対してのスタンスが読み取れます。マセラティ430 アップデー
これも懸念のパワーステアリング・ラックです。画像左に写るものは排気管です。フルードの配管にとても近く、フルードが沸くのも納得です。マセラティ430 アップデー
マニュアルのステアリング・ラックがあるのでそれに換装して電動パワステ化を予定していましたが、どうもギア比がとってもスローでステアリングが忙しくなりそうです。その場合このラックを使用することになりますが、いずれにせよ油圧系統は排除します。これじゃあO/Hしてもどうせすぐに漏れるだろうし、油圧のコンポーネントがなくなればスッキリします。張っても張ってもすぐに滑り出す油圧ポンプのベルトは非常に腹立だしいものです。滑るからと強く張りすぎるとベアリングに負担が掛かります。しかもあのロケーション、たかがベルトの交換がとても大きなストレスです。あの油圧ポンプがなくなるだけでも大きなメリットですが、オーナー様は都市部在住の若い女性、狭いパーキング等で停止したままクルクルとステアリングを回されることでしょう。それでも電動パワーステアリングなら安心です。電動パワーステアリングは大きな電力を必要としますが、オルタネーター、配線周りのアップデート、そしてあの秘密兵器(ある方面では秘密でも何でもないですが)があれば全く問題はないでしょう。 80年代初頭のプロレスブームに熱狂した後、音楽に興味が移行してプロレスからは遠ざかっていました。それから十数年後に、ふとテレビで見た武藤のトップロープからのフランケンシュタイナーは強烈な衝撃でした。こんなモン食らってよく死なないなと思いました。十数年の間にプロレスはとんでもない進化を遂げていました。このマセラティに使用する秘密兵器はそんなことを思い出させました。常に時代は進化しています。自分自身の脳ミソのアップデートも必要です。もちろん、何でも新しいモノがいいわけではありません。引き換えに失ったものも多いです。古いものと新しいものの良い所を上手くバランスしていいモノを造っていきたいですね。こういうクリエイティブで楽しい仕事を与えてくださるお客様に感謝しています。